What is mindfulness?

マインドフルネスとは

意味

Mindは注意する、意識するの意味

仏教由来

八正道のひとつ「サティ=正念」

アジアから欧米へ

南伝・北伝の仏教は欧米に拡大

欧米での応用

仏教以外の分野に応用された

高まる注目

世界の検索数は継続的に上昇

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マインドフルネスは「気づき」

十分に注意していること

英語の「マインド」には精神という意味以外に、「注意する」「意識する」「気をつける」という意味があります。

「マインドフル」は、「十分に注意している」「意識をしっかり向けている」「よく気を配っている」という状態です。「マインドフルネス」という単語はその名詞形です。

現状をあるがままに認識すること

マインドフルネスとは、今の瞬間に起こっていることに対して、好き嫌いなどの価値判断をせず、意識を向け続けることです。

私たちはみな、頭の中に浮かんだイメージにとらわれて、今後への不安感や過去の出来事へのいらだち、あるいは強い欲求などを感じることがよくあります。

そのイメージは頭の中で起こっていて、身体の感覚も変化しているという今の現実に気がついて、あるがままの状態を認めて、意識し続けるのがマインドフルネスです。
 
イメージを否定せず、追い求めもせず、「気づき」によって我に返り、リアルな現状を客観的に認識することです。

マインドフルネスの意味

“paying attention in a particular way: on purpose, in the present moment, and non-judgmentally.”

 「意図的に、今この瞬間に、なにも判断せずに、特別な方法で注意を向けること」

ジョン・カバット・ジン

仏教の八正道の一つ「正念」

苦は消滅可能と説かれた「四諦」

約2500年前、ブッダ(釈迦)は最初に四諦と八正道を説いたといわれています。

四諦とは、①苦(=満たされない心)を認識する、②苦には原因がある(執着・渇望)、③原因を取り除けば苦は消える、④原因を取り除く方法がある、の4点です。この具体的な方法が、八正道です。

四諦を実践する方法「八正道」

八正道は8つの要素から構成されていますが、すべてつながっているものです。

  • 正見──四諦にもとづいて物事の無常を見る
  • 正思惟─渇望を離れて非暴力的に考える
  • 正語──嘘や粗暴な言葉を発しない
  • 正業──殺傷や盗みや性的過ちをしない
  • 正命──倫理に反した仕事をしない
  • 正精進─善いことを増やし悪いことを抑える努力
  • 正念──心や身体の現状に気づいて無常を知る
  • 正定──集中によって心が鎮まる

「正念」は、古代インド語のパーリ語のSATI(サティ)の漢訳であり、近代に英訳されたものがMINDFULNESSです。

南伝、北伝、そして欧米へ

南伝のテーラワーダ仏教

初期の仏教はテーラワーダ(上座部)仏教と呼ばれ、スリランカや東南アジアに広まっていきました。テーラワーダでは瞑想や戒律を通じた八正道の実践が重視され、サティすなわちマインドフルネスはその柱の一つとなっています。

 

北伝の大乗仏教

ブッダの死後数百年経ち、仏教に多様性が生じるなかで大乗仏教が発展し、中国を通じて日本まで伝来しました。なかでも坐禅を重視した禅宗は、日本でも鎌倉時代以降に武家を中心に普及し、茶道など日本文化の礎となりました。

近代に欧米に渡った

禅は戦前から鈴木大拙らの英語著作によって欧米で紹介され、注目されました。60年代には米国のカウンターカルチャーの流れのなかで、曹洞禅の鈴木俊隆らが西海岸で活動して大きな影響を与えました。スティーブ・ジョブズも坐禅に取り組みました。

同じ頃、米国人がインドでヨガを修練したり、東南アジアでテーラワーダ仏教の瞑想法(ヴィパッサナー瞑想など)を修練し、米国に持ち帰るケースが増えました。なかでもNPO法人インサイト・メディテーション・ソサエティの設立は瞑想普及の契機となりました。

仏教から多方面に広がる

禅僧ティク・ナット・ハンの長い旅

ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハンは、ベトナム戦争中に渡米して反戦運動を展開し、同士となったキング牧師からはノーベル平和賞にも推薦されました。

しかし戦後にベトナム政府から帰国を拒否され、その後30年間、祖国の地を踏むことはできませんでした。その間、ティク・ナット・ハンは欧州で小さな僧院を設立し、著作を多数出版したり、合宿(リトリート)を開催したりして、マインドフルネスの大切さを説き続けました。

2000年以降、世界銀行やグーグルなどでもマインドフルネスを指導するなど、世界のマインドフルネス普及に大きな役割を果たしています。

ジョン・カバット・ジン博士の挑戦

米国で坐禅やヨガを長年実践していた分子生物学者のジョン・カバット・ジン博士は、それらを医療の主流に持ち込もうとひらめき、1979年、マサチューセッツ州立大学医学部にストレス低減クリニックを医師3名と共同で創設しました。

そこで導入したプログラムを”Mindfulness-Based Stress Reduction(MBSR)”──マインドフルネス ストレス低減法と名付けました。

MBSRの8週間プログラムの参加者に対して、医学的な効果が検証されました。そして、慢性疼痛や不安障害をはじめ、多くの効果が実証されてきました。

広がる応用分野

MBSRはその後、さまざまなマインドフルネスプログラムの基礎となりました。

オックスフォード大学のマーク・ウィリアムズ博士らが、MBSRを多少変更したマインドフルネス認知療法(MBCT)を1991年に開発し、うつ病などの精神疾患に薬と同等の効果があることを実証しました。

ジョン・カバット・ジン博士はグーグルに協力し、MBSRの要素を一部導入したプログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」を2007年に共同開発しました。

教育の分野にも広がっています。イギリスでは公立小中学校約400校にマインドフルネスが導入されています。

スポーツの分野でも効果が挙がっています。米バスケットボールのNBAで11回優勝した名コーチのフィル・ジャクソンは、マインドフルネスをトレーニングに導入したことで知られています。

ニューヨーク郊外でリトリートを行うティク・ナット・ハン(中央)
MBSRについて講演するジョン・カバット・ジン博士(2019年)

世界で注目を集める

欧米で関心が高まり続けている

グーグルの検索トレンドでは、世界の”mindfulness”の単語の検索数は、細かい上がり下がりを繰り返しつつも、大きな傾向としてはこの15年間ずっと右肩上がりです。欧州が顕著ですが、米国でも同様の傾向です。

欧米を中心に、マインドフルネスの関心はますます高まり、定着しつつあるといえます。

 

日本では2016年をピークに横ばい

同じくグーグルの検索トレンドでは、日本の「マインドフルネス」の単語の検索数は、2016年に急上昇した後、いったん低下してからほぼ横ばい状態が続いています。2016年にはNHKスペシャル「キラーストレス」などが放映された影響が大きいようです。

日本ではマインドフルネスは、一時的なブームだったような印象があるかもしれません。しかし世界の傾向が徐々に波及して、今後ふたたび関心が高まる可能性は大いにあります。

“mindfulness” 検索トレンド──全世界

「マインドフルネス」 検索トレンド──日本